新しい「公園」の話、はじまります。

沼津中央公園は昭和45年に最終の整備がされた公園で、沼津駅からも川沿いからもアクセスが良好で、朝はオフィスに通う人の通行路やラジオ体操に勤しむ場所、昼は働く人の微睡みや子ども達の憩いの場、そして休日にはイベント広場や家族が楽しむ場所として利用されてきた。

再整備の検討が始まり、地元住民と共同で新しい公共の姿を目指しその理解を深めるワークショップが10月からスタートする。

そのプレとなる勉強会が10月1日、中央公園に隣接する空きビルで、「中央公園×日常×Local の先にある沼津の未来」と題され行われた。

勉強会では、建築家であり公共空間を使った地域のリブランディングも設計する西村浩さんが「公共の価値」について話された。

 

【“空いていくことは価値だ”という思い】

西村さんはこれまでの事業を通じて「価値の底上げ」をテーマに行ってきた。

現在の市街地に空き店舗があることについて「それは新しい店舗や事業が行えるチャンス。空きがあることを前向きに捉えていきたい」と話す。

特に、日常の盛り上がり・子どもたちと賑わいを作ることに言及。

勉強会と同じ時間に開催されていた“週末の沼津”の風景

「子どもたちが将来の住民になったとき、魅力的な街でなければ人口が流出し、地域の財源が減り、まちづくりを行う財源が減少し、公共サービスの低下が懸念される」と地域の価値の低下が招く過疎化について話した。

その上で、中央公園の整備について「公園がみんなに使われ、場の期待値が上がっていくと、周辺で新しい商売や活気が生まれる。生まれた活気はエリアの価値を上げ、そして土地の評価に連動していく。現在は新築でビルを建てても資材の高騰で回収するのはなかなか難しい。

   


【仮説を立て、まずは小さく動き出す】

30億円を掛けて開発を行うより、30万円の社会実験のほうが動きやすい。まずは地域の小さな投資で実験を繰り返し、軌道修正すればいい。その中からこの地域にあった価値の向上が見いだされる。

自身の行った長野県佐久市の事例をもとに、ウォーカブルな町並みづくりに言及。
当初6人しか集まらなかった実行委員は、その少人数をあえて機動力の高い組織にし、さまざまな実験を繰り返した。
市街地中心部が歩行者専用道路で地価の下落は著しかったという。しかし、むしろ自動車が来ないからこそ子ども達を安全に遊ばせるスペースを作り、道の中央にはポップアップショップを置くなどの実験を開始。現在、人工芝を敷いた道の中央では、街のミュージシャンが音楽を奏でる発表の場になり、街ににぎわいと新しい事業が増え、価値が上がったという。

また、西村さんの出身地である佐賀県では、衰退し空き地が増えた商店街に芝生を敷いた土地にコンテナを設置。「わいわい!!コンテナ」プロジェクトは次第に活性化をみせ、空き地は子どもたちと一緒に芝生を貼ることを行った。

「街の価値を上げていく事業を小さくでも行い続けると、面白いと思ってくれる感度のいい人が新しい事業を始める。事業が行えればテナント賃料が入る。テナント賃料が入るとビルの価値が上がり、街の価値があがる」と今まで実施してきた具体的な事例の公共の場の好循環について説明した。

大事なのは「妄想力だ」と西村さんは話す。

「人口減少・新型ウィルス・災害など日本はかつてない未体験の時代に突入した。その時代を乗り越えるには、途中に困難な状況に出会っても打ち勝てる楽しい妄想力が大事。その妄想力を起点に、仲間や自治の力を使いながら実行していけば負担も少ない。そのためには当事者として街の公共再編に参加することが大事だ」と勉強会を締めた。


“週末の沼津”から派生したパークテラス

かつては幹線道路・鉄道・大型施設の登場でしか地域の価値の向上はできないと思われていたが、この勉強会で感じたのは、公共空間の価値を高めて、そこに可能性を見出し集まった方が行政のサービスだけに依存をせず、私たちができる小さな強みを提案でき、地域の価値・経済は私たち想いで作ることができることが可能になったということ。

自分の街の未来は、自分たちみんなでも作れるということだ。

そんな可能性の背景を読み解きながら公園の再整備のワークショップを今年度は4回行う。

【ワークショップ・スケジュール】

1回目:10/16(日)10:00-12:00
『 “わたし“と “中央公園“のミライについて考えてみる』
・会場:辻ビル

2回目:11/30(水)18:30-20:30
『ライフスタイルと沼津らしいカルチャーの場を妄想してみる』

・ゲスト講師:加藤寛之
・会場:辻ビル

3回目:12/14(水)18:30-20:30
『全国の素敵な公園やストリートの仕組みの物語を聞き、沼津に想定してみる』
・ゲスト講師:青木純氏 宮田サラ氏

4回目:1月
『再整備に向けて、これからの公園の可能性と“わたし”が出来る事について考える』
・ゲスト講師:馬場正尊氏

■お申し込み:沼津市 中央公園再整備デザインワークショップ事務局
kouen.numazu@gmail.com

意見を出し合うワークショップではそれぞれの立場の当事者になって頂けるよう、役割に合わせてグループを組む予定だ。

沼津中央公園のこれから。

一緒にミライを創造したい方。
興味のある回でもぜひ参加を!

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