日本一の塩を目指すミッション~NPO戸田塩の会~

“甘い塩”というと語弊があるかもしれないが
戸田塩の会が作る塩は口の一部分に甘さを感じる。
そしてやわらかくコクがある。

真っ白で滑らかでやわらかい雪のような塩。
まあるいしょっぱさは作り手が見えるようにやさしい。

それは塩なんてどれも変わらないのではないかと思っていた私にとっては衝撃だった。

その塩を追い求め戸田の作業所に見に行った。
海のすぐそばにある木造の建物の真ん中に大きな四角い窯。
壁には薪がおいてある。

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ほんとうにそれだけのシンプルな作業所には
NPO戸田塩の会のメンバーがいる。

“うちは混じりけのない塩をつくっているから作業場を自信を持って見せられるのよ”
理事長の菰田智恵さんは言う。

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戸田塩の作り方はとにかくシンプルだ。
駿河湾の水を沖からくんでくる。(これは協力してくれる方々がいるそう)
その水を薪で約13時間炊く。
塩ができたら手ですくっていく。
それだけ。
1日に約60個しか作ることができない。

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シンプルな塩作りを来る日も来る日もお母さんたちは
にぎやかに、そしてなごやかにしている。

海水の水蒸気が立ち込める。
この天然の混じりっ気のない化粧水に毎日触れている
お母さんたちの肌はとてもきれい。

クーラーもない部屋。
夏も冬も毎日塩を作り続ける。
過酷な環境で大変そうだなと思ったが
“夏はね、海から涼しい風が入ってきて気持ちいいのよ、いつも海の恵みを受けているわね”
という返事。

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“ここの人たちは高いお金をおもらっているわけじゃない。
最高の塩を作りたいって思ってるだけ。
本当に人がいいひとたちのあつまりなの。
だからおいしいハッピーな塩ができるのよ”

出来たばかりの塩を試食した。
ちょっといつもよりしょっぱい感じがするなと思ったら
実は少なくとも3~4日は寝かせているそう。
しかも音楽を聞かせながら。
“今はね、ヴィヴァルディを聞かせてるの。音楽を聞かせてあげると角が取れてやさしくなるのよ”とこっそり教えてくれた。

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過疎化していく戸田。
この地域には何があるのかを見つめた。
日本一の深海がすぐそばにあること。
伊豆の山々の木が近くにあること。
毎日海越しのきれいな富士山を見て心和やかに暮らしている人々がいること。

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菰田さんは20年前に身近にあるものを活かすため“塩”に辿り着いた。
約1500年前に安康天皇にここの地域の塩が献上されていた歴史もあった。

なんとか戸田を知ってもらおうと始めた塩作り。

“私たちは最初から日本一いい塩をつくるのがミッションなの”

志は高いがノウハウがない。
試行錯誤しながらの日々。
そして東京のデパートに行き一番高い塩を見つけ、その生産地へ見学へ行く。

フランスの「ゲランド」へ。
モンサンミッシェルの近くにある、世界的に有名な塩。

どうせだったら世界一の塩を見に行かなくてはと、5年間毎月少しずつお金を貯めて、みんなでそこに勉強に行った。

“着物を着て行ったんですが歓迎されましてね。
そこでたくさんのことを学んで帰りました。”

全力で取り組み、ミッションを果たしていく。
そして“沼津ブランド”になり“農林水産大臣賞”を受賞した。

国土交通省 半島振興室が開催した銀座松屋での“半島の台所”という企画展では大きく取り上げられた。

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デパートに並んだ戸田塩、そしてその企画展で冊子になった塩をつくる風景を見て菰田さんは
“大きな夢を持ち評価されたことはとても嬉しいの。
田舎では言った事を一つ一つ実現していかないと、いろいろと続いていかないしね”

そうしみじみ言われたのを聞いて、これまでの苦労を感じることができた。

情熱、現実、継続・・・

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地元では美味しさと共に、おかあさんたちの頑張りがこの地域の誇りとして広がりがでている。
ラーメン店がこの戸田塩の会を使ったコンテストも行ったことも。

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(ラーメン店の店主と菰田さん)

塩は生命にはなくてはならないものだからこそ大切に作るという。
一つまみ、その一つまみでもお母さんたちの愛情が伝わっておいしい食事になる。

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素材をぐっと活かす戸田塩。
ぜひともシンプルに料理し素材のおいしさを味わって頂きたい。

そしてお母さんたちには、ずっとこの地域ならではの誇るべき塩を作って頂きたい。

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≪NPO戸田塩の会≫
沼津市戸田3705-4
TEL:055-894-5138


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