一本の線のために~青木一香~

“最後の瞬間(時)に一本の線を描きたいの”

72歳とは思えない、チャーミングでやさしく美しい笑顔からは想像ができないほどの強く意志のある“ことば”
青木洋子改め、青木一香先生がおっしゃった。

書道の筆で書かれたいくつもの“線”が伝えるものは。。。
“線”の美しさにとりつかれるように、青木一香先生の作品は出来上がっていく。

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自宅兼、アトリエは一歩足を踏み入れると外観からは想像できない世界が広がる。
3つの部屋をつなげたというリビング兼ダイニング兼アトリエの床には“紙”が貼られている。
見渡してみると、廊下や扉、トイレの壁までも。
つまり、部屋中が青木一香の“作品”で作られているのだ。

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“居心地のいい空間にしたいんじゃない”
とおちゃめに答えるが壁を取り払い、紙を貼ってしまう大胆さには少々驚く。
大好きなもので作られた場所、これがお菓子だったらヘンデルとグレーテルみたい。

青木先生は東京芸術大学出身。
“うちはあまりお金持ちじゃなかったから大学は国立しか考えてなかった。そしたら美術の大学って一つしかないのよ!”
2浪して入った大学、浪人中は東京にある現代美術研究所で学んだ。
画材など何かとお金がかかる勉強に、いろいろなアルバイトをした。
だが、研究所で過ごした時間は恩師と盟友に巡り合うことができ、学生時代も研究所仲間とグループ展をした。

絵を描き、33歳の時に「海を描く現代絵画コンクール展」に入選。
自分の絵の道筋が見えてきたので沼津に拠点を移す。

毎年青木先生に絵を見せに来ていた美術大学を志望する一人の男性の声から、沼津に美術研究所を開くことにした。
沼津で美術大学に行く準備をする生徒たちが集まり、
42年間続いた研究所に通った生徒は延べ1200人。
沼津でも東京と同じレベルの勉強をして美術大学に臨むことが出来るように、近年まで研究所を続けた。

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≪美術研究室で生徒を教えている青木先生≫

沼津に与えた影響の大きい青木先生。
美術研究所、そして今は絵を発表する場をということでE・SPACEを沼津に作った。
沼津の美術界を支えたひとり。

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≪背景はE・SPACE内にあるBOXギャラリー。美術書なども並ぶ≫

“いろいろやっているようによく言われるんだけど、結構ストイックなのよ。
 本当はいろいろやりたいんだけど、そしたら絵を描く時間が無くなっちゃうでしょ?”

そして今。
青木一香として新しいステージへ。

絵は描いても描いてもゴールはない。
次はこうしようって、毎回迷いながら作品を作っていく。
絵を描き続けてきた青木先生の
常により良いものを、そして最後の瞬間(時)に描く一本を追い求める姿勢。
その勢いはとどまることを知らない。

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青木先生に影響された人に何人にも会ったが
アトリエを見て、作品を観て、そしてこれから歩き出す“青木一香”を目の前にしてわかったこと。
それは“青木一香”自身出すとんでもなくまっすぐで純粋な“線”に対する想い、
それが人々を動かしているということだ。

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“最後に納得いくものに会いたい。これ!って思えるような”
いくつになっても変わらない前向きな行動、
そして追及心。その瞬間を共に感じてみたい。

≪次回の個展≫
青木一香 Ikkoh Aoki
― 線の伝えるもの -
2014年3月17日(月)~22日(土)
11:00pm~7:00pm (最終日5:00pm迄)

場所:櫟画廊
東京都中央区銀座7-10-12第2柳屋ビルB1
TEL:03-3571-0347

≪E・SPACE≫
沼津市町方町61
TEL:055-926-3100

富田貴智展 - 日×∞=毎日 ―
3月9日(日)まで
tomita
≪作家の富田貴智さん≫

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1件のコメント

  1. 私は32年前に沼津美術研究所を卒業生した者です。現在は東京でブックデザインの仕事をしています。昨日青木先生と半年ぶりにお会いしたのですが、いつお会いしても衝撃的です。いつか沼津美術研究所のアーカイブを作りたいと、先生とお会いして、決意したところです。

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