漁師町の相撲大会

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“子供たちは大きくなってもおぼえてくれている”

笑顔でそう語るのは地域の体育委員を務める沼津市議会議員の岩崎英亮さん。

我入道、浜町にある八幡神社はこの地域の氏神様だ。
八幡神社の例大祭に合わせ、奉納こども相撲大会が毎年夏休みのこの時期に行われる。
参加するのは我入道の九つの地区、南条町、一本松、林町、
津島町、稲荷町、秋葉町、江川町、東町、浜町。

土俵は堤防の外側、野球グラウンドの片隅に作られる。
岩崎さんによるとこの相撲大会は、80~90年前から行われているそうだ。

“昔は漁師が多かったから、子供に限らず青年も参加した。
漁師の若者だったから結構激しくてね。
今は漁師も減って子供の数も減った”

時代の流れとともに青年の部、中学生の部はなくなり、
今年は沼津第三小学校に通う小学生57名がエントリーした。

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この歴史ある相撲大会には、かつて伝説的な選手もいた。
男子ハンマー投げのメダリスト、室伏広治選手のお父さん、
“アジアの鉄人”こと室伏重信さんはここ我入道の出身。
幼いころ、やはりこども相撲に参加したそうだ。
当時を知る岩崎さんによると“周りとは体つきが違かった、強かった!”とのこと。

大人たちが地域の子供の成長を見守る。
“小学校1年から参加して年々大きくなっていく、そういうのを見ているとこちらも嬉しくなる”
という声を聞いた。

こども相撲大会が地域の振興、はたまた教育を担っている。

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8月25日、あいにくの空模様の中(例年はよく晴れるそうだ)
八幡神社の神主さんによる祝詞奏上から大会は始まる。
開会式中もおしゃべりに夢中だった小学生もいったん試合が始まればみな真剣だ。

試合は“豆力士”と呼ぶにふさわしい1年生からはじまり6年生まで順に行われる。
子供が一生懸命ならば自然と大人たちの応援に熱が入る。

こうして会場にある種の一体感が生まれる。

地域のつながりが希薄になっている現代において、ここには相撲という共通言語がある。
お父さんもお爺さんも、みんながやってきた相撲。
それは時代を超え共有する想い、なくなりつつあるコミュニティを支えるみんなの気持ち。

“細々とですが、そういった地域の伝統を守っていくことが大切なんです”

子供たちを見守る岩崎さんの眼はやさしさで溢れていた。

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