森藤七郎の末裔がつくる野菜
愛鷹山の麓に石川という地区がある。
この地域の農業の歴史を知ろうと森さんにお話を伺った。
森家はこの地域の有力農民であり、1797年に幕府が愛鷹山に馬牧を開いてからは
5~7代にわたって馬牧の管理・経営にあたった。
森さんのひいお爺さんは森藤七郎と言い明治から大正にかけ
村長 村会議員 県会議員、などをつとめ地域行政に尽力した。
江原素六と共に愛鷹山麓の土地を国から払い下げ地元に還元をする。
また浮島地域の開拓にも携わる。
30年前、森家の蔵を壊した時、森藤七郎を含む森家の史料は焼かれずに
沼津明治資料館に渡された。
それは5,000点以上の莫大な量だったようだ。
明治資料館の学芸員が整理し、目録も発刊された。
幾世代にもわたり豪農・地主として村の指導者であり続けた同家ならではの史料。
沼津ジャーナルとしても、これらの歴史を知ることから始めていこうと思う。
この地域の魅力がまた新たなところから見えてくるかもしれない。
現在も森家では愛鷹の麓で農を営む。
6年前、ご主人が本格的に専業農家となり様々な野菜をつくる。
この日は赤おくらやきゅうりの収穫。
歪な形や虫に食べられてしまったものも。
農薬を使わずに育てられた野菜たちは、生命力を感じる。
地域の方々に、安心でありおいしいと感じてもらう野菜をつくる事に尽くす森さん。
土づくりにも熱心に取り組み、様々な菌、植物、虫が連鎖して有機的な役割を持った土壌を目指す。
“有機的な”
森さんの物事に真摯と向き合う時の目を見ていると、
かつて森藤七郎もまた有機的な地域づくりを目指し、そして動いていたのかもしれない。
と、ふと思った。
地域への想いは今も受け継がれ、そして味わうことができる。
森さんの野菜は自慢フェスタのセンターテーブルにて料理としても提供される予定だ。